2016年 3月の記事一覧

«Prev1Next»
16年03月31日 15時10分00秒
Posted by: kanemitsu

今回は、遺言書の書き方についてご説明しようと思います。

 まず、どのような方が、遺言書を作成する必要があるかです。その第1は、法定相続分どおりに相続させたくない人です。こういう方は遺言書の作成は必須です。法定相続分どおりに相続させたくないので、生前贈与をしたとしても、原則として持ち戻しの対象となる。要するに、他の相続人より多くあげようと思って生前贈与をしているのに、放っておくと生前贈与をした分だけ、贈与を受けた相続人の相続分が減ることになるのです(もっとも、例外も多くあります。)。

 

【相談事例1】私は、現在、施設にいますが、夫は先に亡くなっており、子どもはいません。法定相続人は兄弟姉妹ですが、兄や弟とは仲が悪く、兄や弟には相続させたくありません。

【回    答】こうした場合、遺言書を作成しなければ、兄や弟にも相続されますが、遺言書を作成することで、仲がよい姉や妹だけに相続させることができます。

 この点、子や配偶者、親の相続分を0とする遺言は遺留分の分だけ、その有効性に制限がありますが、兄弟姉妹については、遺留分がありませんので、兄や弟の取得分を0とする遺言書も完全に有効です。

 

【相談事例2】現在、長男と同居していますが、長男夫婦には夫の介護や私の通院の付添をしてもらったこともあり、次男より多くの相続をさせたいと思っております。

【回    答】こうした場合、遺言書が無ければ、大きく揉めることが多いのです。私が担当するケースも多くがこのパターンです。どうしても、同居している子やその妻は、我慢して親と同居してきたし、親の世話をしてきたんだから、他の兄弟より多くの相続をしないといけないと思うものです、、、  (つづく)

16年03月29日 15時10分00秒
Posted by: kanemitsu

遺留分は、相続争いには頻出のワードです。そこで、今回は遺留分のことについて、ご説明申し上げます。

1 遺留分とは、簡単に言えば法定相続分の一定割合を取得する権利のことで、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

 例えば、奥さんと長男、長女をもつ男性が長女にだけ相続させる遺言を残していた場合です。そうした場合、何ももらえなかった奥様や長男は、自分の遺留分が侵害されたことを知った日から1年以内に侵害者に対して遺留分減殺請求の意思表示をすれば、自分の遺留分を確保することができます。この遺留分は、尊属のみが相続人の場合は3分の1、その他の場合は2分の1です。

2 遺言をする場合などは、この遺留分に十分に注意しておかなければ、死後、大変なことになります。

 例えば、どんなケースかと言えば、息子と妻がいる場合で、残された遺産は妻と暮らしている自宅のみ。そういった場合に、息子と妻が仲が良ければ良いのですが、息子と妻の仲が悪く、息子が自らの遺留分(法定相続分の4分の1)を主張する場合です。そういった場合、残された妻は自宅の時価の4分の1のお金を作って息子に渡すか、それができなければ、自宅を売却してその売却代金の4分の1を息子に渡す必要があります。

ですので、そうした場合、単純に妻に全てを相続させるという遺言を書いただけでは妻の自宅を確保することが難しく、他の対策を検討する必要があります。

16年03月27日 15時09分00秒
Posted by: kanemitsu

1 特別受益

 遺言書がないと必ず、法定相続分通りに相続する権利があるのかというとそうではありません。例えば、長男、次男、長女がいて亡父の遺産が6000万円あったとします。その中で長男は、父の生前に3000万円を受け取っているとします。簡単に言うとこうした生前贈与を特別受益と呼びますが、こうした特別受益を受けている相続人がいれば、その相続人はいったん3000万円を返したこととして遺産総額を9000万円と考えます。これを「持ち戻し」といいます。

こうして生前贈与をプラスした遺産総額を相続人数の3で割ると1人3000万円ずつになります。しかし、長男は既に3000万円を受け取っているので、具体的な相続分は0。よって、次男と長女が3000万円ずつを相続するということになります。

2 持ち戻しの免除

 もっとも、遺言等で持ち戻し免除の意思表示をしておけば、特別受益を持ち戻す必要がなくなり、特別受益を受けた相続人はその分、他の相続人より、相続分が多くなるということになります。

3 寄与分

 また、相続分の修正要素には、寄与分というものもあります。例えば、被相続人の療養看護に努めた相続人は相続分の10%を寄与分として先に受け取ることができるといったものです。

16年03月25日 15時08分00秒
Posted by: kanemitsu

1 相続の3パターンについて

 一概に相続といっても、相続には3パターンがあります。普通、相続と言えば、家や預貯金などのプラスの財産だけではなく、マイナスの財産、すなわち借金も相続します。世の中の大半の相続がこのパターンだと思います。

2 相続放棄

 しかし、被相続人に多額の借金がある場合、プラスの財産もマイナスの財産も放棄することができます。これは「相続放棄」と呼ばれ、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所で手続をとる必要があります。

3 限定承認

 また、自宅など、どうしても確保したい財産がある場合には「限定承認」という手続をとることもできます。この手続も3か月以内に家庭裁判所で手続をとる必要があります。この限定承認は、簡単に言えば、自宅など確保したい遺産を鑑定してもらい、その鑑定額でその遺産を買い取り、その他の遺産も全て換金して、その換金しおた金を全ての債権者に配当して、その余は免除してもらうということです。

4 被相続人に税金の滞納がある場合

 この点、相続放棄や限定承認は、例えば、父親の借金について自らが連帯保証人となっている場合にも有効な場合があります。というのが、父親が多額の税金を滞納している場合には、相続放棄や限定承認をしても自らの連帯保証債務は免除されませんが、その税金の相続をしないことができます。

会社が倒産して、自らも破産をしたような場合、通常は全ての債務が免責されますが、税金や社会保険料は、破産をしても免責されません。

よって、相続放棄や限定承認で過大な税の負担を避けておく必要はあるかもしれません。 

16年03月23日 09時36分54秒
Posted by: kanemitsu

今回は、相続についてご説明致します。相続も弁護士がかかわることが非常に多い案件の一つです。

1 誰が相続人か、相続割合がいくらか

 まず、誰が相続人になるのかについて説明しますと、配偶者がいれば配偶者は必ず相続人になります。次に子どもがいれば、子どもも必ず相続人になります。例えば、離婚をして親権者とならなかった親についても、親子の縁が切れるわけではありませんので、その子は相続人となります。ですから、配偶者と子がいる場合には、配偶者と子が相続人になります。割合は1:1です。子が何人かいる場合、子の取り分を子ども全員が平等に分けます。

次に、子がいない場合。その場合、親がいれば親が、親がいなくて祖父母がいれば祖父母が相続人となります(曾祖父等も同様です。)。親が一人でもいる場合には、祖父母は相続できません。前記のとおり、配偶者がいれば、配偶者は必ず相続人となりますので、配偶者と一緒に相続します。その相続比率は配偶者2、親又は祖父母が1です。

親も祖父母も(曾祖父もですが、、)亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続します。配偶者がいれば、配偶者との割合は3:1となります。また、兄弟姉妹も亡くなっている場合には、おい、めいが相続人となります。

2 養子

 なお、養子も実子と同じだけの権利があります。また、養子は他の子と兄弟姉妹になりますので、兄弟姉妹が亡くなったときに相続人となりえます。この点、相続はプラスの財産だけではなく、マイナスの財産、すなわち、借金も相続しますので、自分の両親と養子縁組をした方が借金を作って亡くなった場合、死亡日から3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続をしなければ、その借金を相続してしまうこともあります。 

«Prev1Next»