律 子 :任意整理って,弁護士さんに介入してもらって,一時借金の返済をストップした上で 総額を

      確定し,それを支払い可能な額の分割払いで支払っていくという形で交渉してもらう 借金

      整理の方法だったよね?


すばる君:そうだよ。だいたい分割払いの期間は3年から5年になるんだけどね。


法 子 :それは,どうしてなの?


すばる君:弁護士が介入する意味は,交渉が決裂した場合,法的整理,つまり,裁判所を介 し た個人

      再生や自己破産に移行する可能性があることを貸金業者に認識させることにあるんだ。
      貸金業者にとってみれば,個人再生で債権を5分の1くらいに圧縮されたり自己破産で0に

      されるよりは,交渉に応じた方が返済額が多くなるからね。
      個人再生では圧縮した借金を3年から5年で返済していくから,それとのバランスから,任

      意整理では元本を同じ期間で返済していくという形での交渉になることが多いんだ。


法 子 :任意整理では債務を圧縮できないの?


すばる君:一括で弁済する場合は,多少元本から割り引いてくれる業者もいるみたいだね。
      あとは,「払い過ぎ利息」がある場合,それを元本の返済に充てて,任意整理に入る前より

      も債務額を減らすことができるよ。


律 子 :「払い過ぎ利息」って?


すばる君:利息制限法という法律には,借金の元本額に応じて,

       10万円未満のときは年利20%

       10万円以上100万円未満のときは年利15%

       100万円以上のときは年利15%

      というように,制限利息が定められていて,それを超える利息を受け取ることは無効だとさ

      れているんだよ。一方で,出資法という法律では処罰金利が定められていて,年利29.2%

      を超える利息をとると刑事罰の対象になるんだ。

      ここで問題なのは,処罰金利以下の利息を取ったとしても,貸金業法に定められた条件を

      満たしていれば「みなし弁済」として許されることになっていたことなんだ。

      平成18年くらいまでは,多くのサラ金の間では,制限利息を超えるが処罰金利以下の利息

      いわゆる「グレーゾーン金利」をとることがまかり通っていたんだよ。

      でも,最高裁判所で平成16年2月20日の判決などが出て,「貸金業法に定められた条件」

      がかなり厳格に解釈されるようになって,この条件を満たしている業者はまずいなくなった

      から,制限利息以上で返済していた分を貸金業者が不当に得たものとして取り返すことが

      できるようになったんだ。
      ちなみに,出資法での29.2%という利息は,昔はもっと高かったんだけど,2006年の改正

      でついに20%まで下がってグレーゾーン金利はなくなることになったんだよ。


法 子 :なるほど。「払い過ぎ利息」が借金の元本以上になった場合は,「過払い」になるわけね。

      制限利息以上の利息をとっていたことのあるサラ金との取引がある人は,任意整理をする

      ことで借金の額を減らしたり,過払い請求することもできるのね。


律 子 :こうしちゃいられないわ!さっそく任意整理しないと・・・。


法 子 :律子ちゃん,サラ金から借りてたんだ・・・。





            (弁護士 横尾 和也)