2009年 11月の記事一覧

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09年11月21日 13時03分20秒
Posted by: attorneywatanab
ところが実際には、kは実際には株を暴力団に売ったことも、その交渉をしたこともなかった。被告等は詐欺と脅喝の両方の被害にあったのである。
そもそも、ミシン会社に関心を持つ暴力団がいるのかどうかが疑問であるし、被告らと協議していたメインバンクの主脳は通常の判断能力があれば嘘と分かるほどのものであったと刑事裁判で証言している。しかも、被告らはkから買主として稲川会系の具体的な会社名まで教えられたが、その資金力や本当に買ったのかどうかについて全く調べることをせず、警察に相談することもなく、kの言葉をそのまま信用したのである。更に問題であったのは、蛇の目には顧問弁護士がいたのに被告等は具体的な協議をしなかった。もし、顧問弁護士に相談しておれば、kの言葉を疑い警察に届けることや、本当に譲渡がなされていないことが分かれば詐欺による取消しを行うとか、または強迫によるものとして取消しの通知を行う等の措置がとれたであろう。更に、被告の一人がkから強制されて書かせられた、k所有株を蛇の目で買取る旨の念書の無効を通告する等の対応がなされたであろう。
被告らが顧問弁護士に具体的な対応を相談しなかったということは、相談すると反対されると考えたからであろう。そうだとすれば、被告らには過失ではなく故意があったことになる。被告らは実際背任罪を恐れていたのである。被告らは、会社を詐欺や恐喝から守るべく何らの行動をしていない。取締役を開いてKに対し、株式買取りを明確に断るという基本的なことをしていない。また、全ての被告が直接Kから脅迫を受けたのではなく、その意味で冷静な判断をすることができた被告もいたのである。
私たち弁護団は、訴訟を起こせば当然勝訴するものと考えた。
ところが、裁判所の判断は異なっていた。
09年11月10日 11時23分25秒
Posted by: attorneywatanab
原告と被告らの言い分
被告らは蛇の目ミシンの顧客は主婦層であり、暴力団に株が渡るとミシンが売れなくなるだけでなく(被告の一人は一台も売れなくなると主張した)、当時、会社が行おうとしていた会社の再建計画(ミシン専業から脱皮)に支障をきたす等と反論した。株が暴力団に渡るとミシンが売れなくなるかどうかは分からないところであるが、仮に影響があったとしても、その対策のために会社の税引き前10年分、利息を含めれば15年分という法外な金員を交付するような経営者がどこに居るであろうか。
蛇の目は営利会社であり、かかる行為は会社の存立目的を否定する行為であるといえよう。また、会社の再建に障害があるといっても、新製品の開発のためには資金が必要であり、かかる大金を出すということも合理的な根拠がなかった。
株主としてこのような支出を認めることは到底できないところである。
被告らはかかる行為はkが暴力団に株を売ったと信じて、それを取り返すためにやむなく行ったのであるから違法でも有責でもないと反論してきたのである。
09年11月06日 13時56分47秒
Posted by: attorneywatanab
私は約15年かけて蛇の目ミシン(株)の株主代表訴訟の代理人を務めました。この裁判については多くの学者による判例評釈が出ていますが、ここでは実際の裁判で何が問題とされたかを紹介したいと思います。本件は一見非常に複雑に見えますが、本質的な論点は簡単なものでした。簡単な論点について15年も裁判が行われたというところに大きな問題があります。

蛇の目事件の内容
蛇の目ミシン事件とは、極く簡単に言うと家庭用ミシンメーカー大手の蛇の目ミシン工業株式会社の発行済み株式の半数近くを買占めたkが買占め資金をノンバンクから借りていたため、その返済を迫られ蛇の目(会社ともいう)に対し966億円の債務の肩代わりを求め、会社が応じないでいると、買占めた株式を暴力団に売ったとして脅迫され、それを取消すためには300億円が必要であるとして、300億円を脅し取られたうえ、右966億円の債務を次々と蛇の目の関連会社等に肩代わりさせ、そのための担保提供や保証をした蛇の目が最終的に債務を返済したという事件である。
蛇の目は本社ビルや重要な工場を売却処分する等で甚大な損害を被った。
被告は当初、蛇の目の全ての取締役29名であったが、控訴のときに5名に絞った。
銀行出身の取締役2名、蛇の目本来の取締役2名、kに対する迂回融資やその後の蛇の目株の肩代り計画で自らが経営する会社を利用させる等して協力した取締役1名である。
09年11月01日 22時00分40秒
Posted by: attorneywatanab
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証券先物取引の損害賠償請求事件、その他民事一般取り扱います。

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