原告と被告らの言い分
被告らは蛇の目ミシンの顧客は主婦層であり、暴力団に株が渡るとミシンが売れなくなるだけでなく(被告の一人は一台も売れなくなると主張した)、当時、会社が行おうとしていた会社の再建計画(ミシン専業から脱皮)に支障をきたす等と反論した。株が暴力団に渡るとミシンが売れなくなるかどうかは分からないところであるが、仮に影響があったとしても、その対策のために会社の税引き前10年分、利息を含めれば15年分という法外な金員を交付するような経営者がどこに居るであろうか。
蛇の目は営利会社であり、かかる行為は会社の存立目的を否定する行為であるといえよう。また、会社の再建に障害があるといっても、新製品の開発のためには資金が必要であり、かかる大金を出すということも合理的な根拠がなかった。
株主としてこのような支出を認めることは到底できないところである。
被告らはかかる行為はkが暴力団に株を売ったと信じて、それを取り返すためにやむなく行ったのであるから違法でも有責でもないと反論してきたのである。