2009年 7月の記事一覧

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09年07月19日 02時23分14秒
Posted by: subarulaw
茂 美 :ねえ,弾くん。
      この食堂の食べ物を勝手に食べちゃったら,窃盗罪になるの?


 弾  :そうだね。


茂 美 :そうすると,刑事裁判を受けることになるのね。


 弾  :必ずしもそうであるとは限らないんだよ。
     食堂から被害届が出なかったら,そもそも警察すら動かないで終わってしまうこともありえる

     と思うよ。
     刑法に規定された犯罪行為をやっていることは間違いないんだけど,被害者が許している等

     の理由で,刑罰を科して罰するまでの違法性がないってことだろうね。


茂 美 :被害届が出たら?


 弾  :まずは警察の取り調べを受けることになるだろうね。

     さらに検察庁で取り調べを受けて,そこで,担当の検察官が,犯罪行為が行われたのは間

     違いないとの心証に至れば,その検察官が処分を決めるんだけど,大きく分けると,

     起訴猶予(不起訴),略式命令の申立て,公判請求(正式裁判)の3つの処分があるんだ。
     反省している,被害が小さい,常習性がない等の理由で,不起訴になる場合もあるんだよ。

     略式命令の申立てというのは,軽微な罰金刑の場合に,被疑者の同意を前提に,公開の法

     廷での正式裁判を経ないで裁判所が罰金の命令を出して終結する手続きだよ。

     その場合は,略式請書(りゃくしきうけしょ)というのを書くことになるんだ。
     他には,犯罪の種類や被害の大きさによっては,微罪処分といって,検察庁の取り調べを受

     けないで終わる処分もあるんだよ。
     犯罪を犯したからといっても,全ての件について公開の法廷で裁かれるわけではないのさ。


茂 美 :じゃあ,私が弾くんのおかずを食べてしまっても,被害届はでないから,処罰はされないって

     ことね♪


  弾 :あっ!!僕が最後に食べようと思ってとっておいたカニクリームコロッケが・・・。

     茂美ちゃん,ひどいよ~・・・。



(弁護士 横尾 和也)
09年07月08日 20時29分39秒
Posted by: subarulaw
弁護士  「今日はどのようなご相談ですか?」



的目黛代 「今、数社から借入があって返済に苦しんでます。

        最近、銀行で「おまとめローン」というのがあるというのを聞いて、

        それを使おうと思ってもみたのですが、

        でもやっぱりその前にちゃんと専門家の話を聞きたいと思って。。。」



弁護士  「そうですか。

       数社も返済とは大変でしたね。

       そして、おまとめローンを使う前によく当事務所を訪れてくれましたね。

       いい判断されましたね。」



的目黛代 「どういうことですか?おまとめローンは使わないほうがいいってことですか?」



弁護士  「必ずしもダメというわけではありません。

       ただ、すぐに飛びつくと損をすることがある、ということです。」



的目黛代 「損をする?」



弁護士  「はい。

       まず、おまとめローンを使って完済すると、それで安心してしまって、

       実は払いすぎているのにそれを見過ごしてしまうことがあります。」



的目黛代 「払いすぎたのは返してもらえるんでしょ?だとしたら勿体無い話ですよね。」



弁護士 「ですよね。

      それだけじゃないんです。

      おまとめローンを使う前に弁護士に相談してもらえれば、

      それだけで、返済額が減ったり、利息カットできたりして、相当負担は軽くなるんです。」



的目黛代 「なるほど。」



弁護士  「しかし、おまとめローンを使ったあとではコストが余計にかかります。

      弁護士が、たとえばあなたの代理人になりましたよ、という介入通知を送ったとすると、

      銀行はすぐに保証会社に代位弁済を求めます。

      その銀行に代位弁済する保証会社というのが結局サラ金だったりするわけです。」



的目黛代 「なんだか、振り出しに戻った感じですね。」



弁護士 「おまとめローンを使ってサラ金に対して約定利息のまま完済してしまう。

      結局ほっとして過払い金を見過ごしてしまう。

      さらに、サラ金には完済したというだけで、

      利息制限法以内とはいえ、利息の高いおまとめローンの返済は残るから、

      結局、支払が困難になる。

      困難になった段階で、弁護士に依頼すると、銀行はサラ金に代位弁済を求め、

      弁護士はサラ金と交渉し和解をすることになるが、

      依頼者は和解がまとまるまでの間の利息の支払いを余儀なくされる。

      そんな図式ができあがってしまうのです。」



的目黛代 「急いては事を仕損じる、とはよく言いますけど。

        費用が結局多くかかってしまうのなら、

        慌てておまとめローンに飛びつく前に弁護士に相談したほうがいいんですね。」



弁護士   「そうですね。

        ところで、的目さん。

        これ会社じゃなくて、ヤミ金ですよね。。。。。」
09年07月01日 01時42分20秒
Posted by: subarulaw
律 子 :任意整理って,弁護士さんに介入してもらって,一時借金の返済をストップした上で 総額を

      確定し,それを支払い可能な額の分割払いで支払っていくという形で交渉してもらう 借金

      整理の方法だったよね?


すばる君:そうだよ。だいたい分割払いの期間は3年から5年になるんだけどね。


法 子 :それは,どうしてなの?


すばる君:弁護士が介入する意味は,交渉が決裂した場合,法的整理,つまり,裁判所を介 し た個人

      再生や自己破産に移行する可能性があることを貸金業者に認識させることにあるんだ。
      貸金業者にとってみれば,個人再生で債権を5分の1くらいに圧縮されたり自己破産で0に

      されるよりは,交渉に応じた方が返済額が多くなるからね。
      個人再生では圧縮した借金を3年から5年で返済していくから,それとのバランスから,任

      意整理では元本を同じ期間で返済していくという形での交渉になることが多いんだ。


法 子 :任意整理では債務を圧縮できないの?


すばる君:一括で弁済する場合は,多少元本から割り引いてくれる業者もいるみたいだね。
      あとは,「払い過ぎ利息」がある場合,それを元本の返済に充てて,任意整理に入る前より

      も債務額を減らすことができるよ。


律 子 :「払い過ぎ利息」って?


すばる君:利息制限法という法律には,借金の元本額に応じて,

       10万円未満のときは年利20%

       10万円以上100万円未満のときは年利15%

       100万円以上のときは年利15%

      というように,制限利息が定められていて,それを超える利息を受け取ることは無効だとさ

      れているんだよ。一方で,出資法という法律では処罰金利が定められていて,年利29.2%

      を超える利息をとると刑事罰の対象になるんだ。

      ここで問題なのは,処罰金利以下の利息を取ったとしても,貸金業法に定められた条件を

      満たしていれば「みなし弁済」として許されることになっていたことなんだ。

      平成18年くらいまでは,多くのサラ金の間では,制限利息を超えるが処罰金利以下の利息

      いわゆる「グレーゾーン金利」をとることがまかり通っていたんだよ。

      でも,最高裁判所で平成16年2月20日の判決などが出て,「貸金業法に定められた条件」

      がかなり厳格に解釈されるようになって,この条件を満たしている業者はまずいなくなった

      から,制限利息以上で返済していた分を貸金業者が不当に得たものとして取り返すことが

      できるようになったんだ。
      ちなみに,出資法での29.2%という利息は,昔はもっと高かったんだけど,2006年の改正

      でついに20%まで下がってグレーゾーン金利はなくなることになったんだよ。


法 子 :なるほど。「払い過ぎ利息」が借金の元本以上になった場合は,「過払い」になるわけね。

      制限利息以上の利息をとっていたことのあるサラ金との取引がある人は,任意整理をする

      ことで借金の額を減らしたり,過払い請求することもできるのね。


律 子 :こうしちゃいられないわ!さっそく任意整理しないと・・・。


法 子 :律子ちゃん,サラ金から借りてたんだ・・・。





            (弁護士 横尾 和也)
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