昨日、映画「沈まぬ太陽」を見てきました。
 実に3時間22分という長丁場の上映だけに、睡眠不足の我が身にはこたえるのではないかと案じていましたが、最後まで画面に引き込まれるようでした。
 主人公・恩地元の渡辺謙さん、そのライバル・行天四郎役の三浦友和さんをはじめ、石坂浩二さんや西村雅彦さん、松雪泰子さんや木村多江さんら、(私にとって)好感度の高い俳優さんがこれでもか、というくらい次々と登場したのにも驚かされました。小日向文世さんに至っては、御巣鷹山に墜落する国民航空123便のパイロット役という、あっという間の出演で少し残念でしたが・・・。
 映画「沈まぬ太陽」公式サイト(←必見です!!)には、映画の予告編やストーリー、キャスト紹介のみならず、掲示板にはこの映画を見た方々の感想、意見などがたくさん紹介されていますが、私にとってもその大半が「そのとおり!」と共感できるものでした。  上記のとおり長時間で、しかも、JALサイドからの事前警告があったためかどうか、大手広告会社や在京TV局が製作に加わらなかったことでもあり、この映画が公開される前は、興行的にはかなり不利なんじゃないかと、ひとり勝手に案じていましたが、シネマトゥデイ映画ニュースを見る限りでは、公開16日間で動員120万人、興行収入は14億円を突破したそうで、嬉しい誤算だったようです。

 それにしても、「AERA」09.11.16号に実物が掲載されたJALの臨時社内報には、この映画に対する「当社の考え方」として、「御巣鷹山事故は克明に描写されており、見る人にはあたかも全てが事実であるかのように思わせる恐れがあります」、「当社と個人のイメージを著しく傷つけるものです」、「作り話を加えて御巣鷹山事故を映像化し、商業的利益を得ようとする行為は、ご遺族のお気持ちを察すると、配慮に欠けると言わざるを得ません」云々という強い非難を浴びせており、「試写会探訪」でも「こんな不正あるわけがない」、「殆どがフィクションであるにもかかわらず、事実との境目が見えません。そのため、私たち社員にとっては、極めて不快と感ずるシーンが続き、一般の方には不正経理や贈賄等の全てが事実に見えてしまう」という、実際に映画を見た1人としては「過剰反応じゃないの?」というコメントが載っていました。
 原作で恩地元のモデルとされた元日航社員・小倉寛太郎氏との共著「企業と人間-労働組合、そしてアフリカへ」(岩波ブックレット)もある経済評論家の佐高信氏は、AERAの同月号に「批判をきちんと受け止められない空飛ぶ田舎企業。相当なアナクロニズムだ」と、いつもながら相当に手厳しい批判ぶりですが、全く同感です。

 ちなみに私、小倉さんと佐高さん、それぞれの講演会を聞きに行ったことがあり(佐高さんとは民主法律協会の合宿で一緒にお酒を飲ませていただいたことも)、今回初めてこのブックレットの存在を知ったので、さっそくamazon.co.jpで注文しました。