最近、耳寄りな話を聞いた。
ほぼ全株式を社長が持っているような中小企業向きであるが、法人契約の生命保険を使って、会社の資金をオーナー個人へ税金がかからずに移転できるというのだ。
その保険では、保険料は最初の3年間だけ支払うことになっていて、保険会社が約束した利率により年々解約払戻金が増加する。会社が保険契約者となって、最初の2年間は保険料を支払うが(何と約1,400万円)、3年目は現金で支払わず、保険会社の貸付を受けて保険料に充てる。ちなみにこの借入金は解約まで返さない。この3年目に、保険契約を会社からオーナーに譲渡する。この場合、保険の譲渡価格は3年目の解約返戻金額で評価されるのだが、3年目の払戻率(解約返戻金/支払保険料総額)が低く(約68%、ちなみに4年目だと100%になるそうだ)、オーナー個人の買取金額(保険の時価)は、大体、
2,850万円(解約返戻金額)―1,400万円(借入金)―87万円(借入利息)
=1,363万円となる。借入は譲渡価格を下げる手段ということだ。
そして、オーナーが4年目に解約すると、返戻金額は4,200万円にふくらむので、
4,200万円―1,400万円(借入金)―87万円(借入利息)=2,713万円(実際にはもう少し金利を取られるらしい)をオーナーが手にすることになり、単純に買取価格を引くと、1年間待って約1,350万円を余計に手にすることができるというのだ。オーナーが受け取った2,713万円は一時所得となり、オーナーは契約を承継しているから、会社が支払った保険料が保険会社発行の支払調書に記載されるので、課税されないことになるというのだ。私は専門ではないので、税務上全く問題がないと言い切れるのかはよく分からない。
ただ、会社は2,800万円の保険料を現金で支払ったのに、オーナーから1,363万円を受け取るだけとなる。確かに、ほぼ全株式をオーナー社長が持っている中小会社でないと実行するのは難しそうだ。