今日は、はるばる浦河町まで出かけ、札幌弁護士会主催の講演&シンポジウムに参加しました。

 第1部は、10年前に大阪から、それまで弁護士が1人もいなかった日高地方に移ってきた海川道郎弁護士の基調講演「弁護士のいない町にきて」。
 海川氏が登録換してきた動機、実際に開業してからの業務の状況や、馬の飼育と弁護士業務との両立のための工夫など、「先生、馬で裁判所に通うんですか?」(北海道新聞社刊)に詳しく綴られていますが、今日は、そのエッセンスを面白おかしく語ってくださいました。
   続けて、今回のイベントのために書き下ろした脚本をもとに、プロの役者が演じたというミニドラマ3本(①相続~兄弟間の相続争い、②消費者被害~呉服屋から何百万も続けざまに買わされた老婦人、③離婚~マザコンで妻を顧みない浮気夫に絶望して)の上映と、③のドラマに基づく模擬法律相談。
 「行列のできる法律相談所」や「生活笑百科」などの法律相談番組で流れるミニドラマに勝るとも劣らない出来映えで、特に3つめの離婚の話は秀逸でした。

 第3部は、「うちの町にも弁護士は必要!!」と題するパネルディスカッション。
 上記の「先生、馬で・・・」の出版を担当した道新東京支社社会部・関正喜氏、地元浦河町の民生委員児童委員協議会会長・小泉睦子氏、ひだか東農協常務理事・和田功氏、そして新ひだか町にあるひだかひまわり基金法律事務所所長・秋元忠史氏という顔ぶれで、コーディネーターは札幌弁護士会地域司法対策委員会の中村隆弁護士。
 
 関氏は、過去に2回も道新浦河支局に配属され、その後も月に2回ペースで乗馬のため浦河通いをしている方で、弁護士過疎の問題をずっと追いかけている理由、道内の
「ゼロワン地域」がほぼ解消された後の課題について、熱っぽく語っておられました。
 小泉氏と和田氏からは、それぞれのお仕事上寄せられる様々な相談内容と、この町に弁護士がいたら、という切実なお話しがありました。
 また、隣町に設置された公設事務所の2代目所長として赴任した秋元弁護士からは、地元に密着した弁護士活動ぶりについて詳しく報告されました。
 
 今回のイベントには、北大法科大学院(ロースクール)から、未来の法律家が10数名参加してくれ、終了後の懇親会や帰りのチャーターバス内でも、明日の法律家像について熱く語り合いました。
 残念ながら、札弁の関係者(理事者や地域司法対策委員会メンバー)以外の一般会員の参加者は、私以外にほとんどいませんでしたが、丸1日近くかけて、はるばる浦河まで出かけた甲斐がありました。

 さて、今日のイベントでは、半ば公約になったかのような、浦河への法律事務所の設置。実際にできるのは、いつのことになるのでしょうか・・・。