2日間限定のつもりが、4日間も中断してしまいました(^^;)
一昨日・昨日と2日続けて、ある家裁支部まで遠距離ドライブを強いられ、予想以上に疲れたので(←言い訳)。

さて、われわれ弁護士には、公的な義務の1つとして当番弁護士というものがあり、だいたい毎月1回の頻度で回ってくるのですが、何と、ここ2回連続で少年事件が配点されました。

少年事件の場合、捜査段階から数えると、逮捕→48時間以内に送検→検察官が72時間以内に勾留(こうりゅう)請求→裁判官が10日間の勾留決定→(多くの場合)検察官から10日間以内の勾留延長請求を受け裁判官が勾留延長決定→検察官が家庭裁判所送致、という段階を経て、身柄が検察官から家庭裁判所に移されます。
ここまでは、多くの場合、成人の刑事事件と同様、警察署の留置場に身柄拘束され、われわれもそこへ接見(せっけん)に通うことになります。
今回は、札幌から片道2時間半以上かかる遠隔地の警察署だったので、通うのが大変でしたが、勾留延長なしで家裁送致されたので助かりました。

家裁送致された後は、観護措置(かんごそち)といって、2週間にわたって(ただし、さらに2週間の更新が可能。重大事件で特に必要がある場合はさらに2~4週間の更新が可能)少年の身柄を少年鑑別所に収容するか、あるいは、在宅調査(自宅に帰した上で時々家庭裁判所に呼び出すなどして調査を進める)にするかを、その日のうちに裁判官が決めることになります。

この少年鑑別所という施設は、えてして、少年院と間違われることが多いようですが、前者は、観護措置の期間中、少年の身柄を預かって専門的な調査や診断を行う施設であるのに対し、後者は少年審判で最終的に決められる保護処分の1つとして、だいたい半年~1年程度(特に短い場合は4か月、長い場合は2年を超えることも)にわたって矯正教育を行う施設であり、同じ法務省所管の施設ですが、機能は全く異なります。

今回は、遠隔地の家裁支部の事件でしたが、管内に少年鑑別所は札幌市内の1か所にしか設置されていないので、少年の身柄は4週間にわたってそこへ収容されました。
近いのはありがたいですが、面会時間が午前9時~午後4時(途中お昼休みあり)と限定されているので、既に1か月~1か月半ほど先まで予定が埋まっている間を縫って、毎週1回のペースで通って、毎回1時間余りの面会時間を確保するのは、正直言ってかなり大変でした。

もちろん、その期間中に、家裁へ足を運んで記録の閲覧・謄写(※特に家裁調査官や少年鑑別所の報告書、少年の通う学校や就業先への照会と回答などの社会記録は、付添人の弁護士に対しても閲覧しか許されません。法律記録も全部を謄写するとかなりの費用がかかってしまいます)、被害者との示談交渉、少年宅の家庭訪問など、やるべきことは他にも色々あります。

成人の刑事事件の場合、起訴されてから第1回公判期日を迎えるまでの約1か月は、否認事件でもない限り、面会時に話すことはそれほど多くはなく、単なるご機嫌伺いのために足を運ぶことすらありますが(したがって接見時間が10~20分程度で済むことも)、少年の場合は全く様相を異にします。

すなわち、わずか4週間の間に、全く見ず知らずのオジサンに対して心を開いてもらい、どうして今回の非行に及んだのか、その原因となった自分の考え方や生き方のどこが問題か、今後はどういうことに気をつけて過ちを繰り返さないようにするかなど、少年自身の言葉できちんと話せるようになるまで、じっくりと時間をかけて対話を進める必要がありますが、うまく歯車が回ったときは、その間に少年の態度や考え方が劇的に変わるのです。

もちろん、これは付添人(成人の刑事事件では弁護人にあたる)の弁護士1人でできるものではなく、家庭裁判所調査官や、少年鑑別所の鑑別技官という専門家、そして少年の保護者との“共同作業”といえるものだと思っています。

今回は、幾つもの事件を起こし、しかも、ある事件で任意の取り調べを受けている間に別の事件を起こして被害者に大怪我をさせてしまうなど、情状ははなはだ芳しくないものでしたが、被害者側との示談も成立したほか、少年自身が大きく変化し、そのことを調査官や鑑別技官の方々も認めてくれたので、比較的安心して少年審判の日を迎えることができました。

ちょうど1時間の審判を経て決められた保護処分は、「保護観察」。

ほっと一息ついたのもつかの間、実に1か月半ぶりに身柄を釈放された少年、その保護者と一緒に、保護観察制度について裁判所書記官から説明を受けたのですが、台風接近中の大雨で特急も全面運休、高速道路も一部閉鎖中なのに、これからすぐに保護観察官のもとへ出頭せよ、と言われてビックリ仰天。
思わず「この天気なのに?別の日じゃダメなんですか?」なんて聞いてしまいました。
実は、本庁ではなく、家裁支部のすぐ近くにある保護観察官駐在所に行けということでした。何ともお恥ずかしい・・・。

事務所への帰路は、高速道路を避け、3時間近くかけて山間の一般道のドライブを楽しんできました。
今日から通常業務に全面復旧です。