(会話形式でお楽しみください)



鐘尾可士多「いや~、先生。こないだの貸した金を返せと兼加理太を訴えた裁判、

        勝たせて頂いてありがとうございました。」



弁護士N「いやいや、請求認容を出したのは裁判所ですから。

      私は鐘尾さんからの依頼に対して誠実に仕事をしたまでです。」



鐘尾「いやいや、先生の努力あってこそですよ。

   なにしろ、1億円を回収できたんですからね。これは大きいですよ。」



弁護士N「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。

      確かに勝訴判決を取ることができましたが、

      まだ回収できるって決まったわけじゃないんですよ。」



鐘尾「なんでですのん。なら勝った意味ないですやん(-.-;)」



弁護士N「もちろん、請求認容判決を得たことで、兼加さんが自主的に1億円払うことも考えられます。

      でも、もしかしたら兼加さんが判決を無視しして払わないかもしれないですよね?」



鐘尾「まぁ、確かに1億円素直に払えるんなら、こんなことにはなってませんわなぁ。」



弁護士N「うん。

     もし、そんな時にお金を貸した人なら、

     いつでもお金を借りた人の土地を売れるってルールだったらどうでしょう?」



鐘尾「金を貸した側にはありがたい話だが、わしも金を借りることがあるしなぁ。

   そんなんされたら怖くてたまらんわ。」



弁護士N「ですよね。

      だから、判決をもらって、兼加さんの財産を1億円分差押えてもいいですよ、

      とお墨付きをもらう必要があるんですね。ここに裁判をする意味があるんですよ。

      そして、そのお墨付きをもとに、今度は執行手続というのをするのです。」



鐘尾「はぁ・・・・勝訴判決だけではだめなんでんなぁ。回収までの道のりも遠そうや。」



弁護士N「お金を貸すときに公正証書を作っておくと、

      裁判しなくても執行手続に入れたりしますから覚えておいてくださいね。

      ちなみに、大阪の場合は、新大阪駅から車で5分くらいのところに執行センターがあり、

      そこで執行の手続きをします」



鐘尾「新大阪の裁判所といえば、交通違反をしたときの罰金を払うところちゃいますのん?」



弁護士N「そうです。よう知ってますねぇ。」



鐘尾「・・・・・・・・・・・・・・・」



弁護士N「…ま、気を取り直して、と。

      とりあえず請求認容判決をもらったら、

      執行手続をとって相手方の財産を差し押さえてお金に換えて、

      それで回収するんですよ」



鐘尾「はぁ、手間がかかりまんなぁ。

    でも1億が回収できないのは困りますし、まぁ、先生ひとつ頼みますわ。

    報酬は1億円が回収できたらでよろしいでっしゃろ。」



弁護士N「いやいや。判決取るのと執行手続は別物ですから、

      勝訴判決取った分の報酬は払ってくださいよ(汗」



(弁護士 西塚直之)