労災事故訴訟の勝訴判決と同じ頃、もう一つの大きな訴訟の全面勝訴判決をいただいた。ホテルからの転落事故の判決である。
 当方は、ホテルの代理人であったが、転落した方は、重度後遺障害を負っていた。請求額は1億数千万円。
 しかし、我々から見ると、どうしてそんな場所に行ったの?と首をかしげるような場所からの転落であり、自殺行為としか考えられなかった。
 裁判は県外の裁判所であったが、裁判の展開は「どうして?!」と思うほど、原告よりに展開した。そこで、我々が判例を丁寧に調べ、それを丁寧に論理展開した。
 また、ホテルに泊まり込んで事故現場を撮影し、部屋から事故現場に出ることがいかに不自然かを説明した。
 そうした努力の結果か、裁判官の発言も当初より、随分変わってきて安心していた。
 そして、判決は、ホテル側の全面勝訴に終わり、控訴もなく確定し、ホテルには随分喜んでいただいた。
 途中まで、裁判官が非常にホテル側に厳しい発言を連発していただけに、ほっと一安心した判決であった。