弁護士は訴訟で証拠を提出するときに、一応、証拠の立証趣旨等を明らかにする書面(証拠説明書)を提出する義務がある。しかし、この証拠説明書、私は基本的に出す必要は無いと思う。なぜなら、基本的に準備書面(我々がその主張を記載して裁判所に提出する書面)に、証拠をすべて引用してあるので、出した証拠が何を立証趣旨としているのか準備書面を読めば分かるから。
 この点、どの弁護士に聞いても、相手方から出てきた証拠説明書を読むことはほとんどないという。だって、相手方から出る準備書面を読めば、出てきた証拠の立証趣旨は分かるから。
 だから、我々弁護士としては裁判官がどうして証拠説明書を必要とするのか全くわからない。しかし、基本的に弁護士は裁判官には弱いので、法廷外で文句を言っても法廷ではあまり言わない。(言うのは私くらい?!)
 私も、準備書面で証拠を引用しないときや証拠が専門的な場合には証拠説明書を出すが、最近、すべての証拠に証拠説明書を要求される。
 この前聞いた話では、過払金返還請求訴訟で証拠としてはまだ取引履歴しか出していないのに、証拠説明書を出さないと取り調べませんという裁判官がいるとのこと。過払金返還請求訴訟で取引履歴の立証趣旨が分からないことはない。
 民事訴訟規則でも証拠の記載から明らかな場合には、証拠説明書は出さなくて良いことになっているはずだが、、、、。
 我々、弁護士が裁判官への信頼を無くすのは、裁判官が明らかに記録を読んでないと思わせるとき。逆に、記録をよく読んでいると思われる裁判官に対する信頼は厚い。(この人、弁護士になっても流行るだろうなと思える裁判官はとても好印象。)
 最悪なのは、当事者本人を裁判所に連れて行っているときに、明らかに記録をちゃんと読んでいないと思わせる発言をする裁判官。これには、さすがに当事者も怒って、法廷を出た後「裁判官って記録読んでないんですか!」って言うので、「すべての裁判官がああではないんですけど、、、。」と言うしかない。

追加 証拠説明書の作成が法律で義務付けられたとき、高松高裁で四国四県の弁護士と裁判官が集まって協議会が行われた。そのとき、他県の裁判官出身の重鎮の弁護士が、「何でもかんでも弁護士にさせようというのは、裁判所の怠慢だ。」と言っていた。裁判所OBだけに、裁判官達もたじろいで、「いや、何の証拠か分かるものは証拠説明書は提出しなくていいですから。」と答えていた。今でも忘れられない光景である。