ファクタリングについては、裁判官も弁護士も随分と騙されている。準備書面版も以前にアップしましたが、今回、もう少し、分かり易く表現します。以下を読めば、ファクタリングの実態が、債権売買ではなく、金銭消費貸借であり、利息制限法や出資法の規制にかかることをご理解いただけると思います。

第1 はじめに
 1 ファクタリング業者は、顧客との取引を金銭消費貸借契約ではなく、債権売買であると主張します。しかし、その実態は、明らかに金銭消費貸借契約です。
 2 本来の債権売買の事例
       そもそも、債権売買であれば、債権の回収は債権の買主自身が行います。
  3 集合債権譲渡担保契約
   (1) ちなみに、集合債権譲渡担保付きの金銭消費貸借契約の場合は期限の利益喪失に至るまで、その回収は債務者に委ねられますが、それがために集合債権売買と呼ばずに集合債権譲渡担保と呼び、あくまで担保であることが明確とされています。まず、裁判官はそこが分かっていません。(判例上、譲渡担保は多くの場合、担保として取り扱われています。)

 (2) また、債権譲渡担保契約においては、債務者が債権者から将来債権(将来発生する債権)を長期間担保として提供し、債権者は債権譲渡登記で対抗要件を具備します。債務者が仮に返済を怠れば、債権者は第三債務者に対して債権譲渡通知を発送し、担保とした債権を回収します。
   (3) 例えば、ある病院が社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会に対して毎月5000万円程度の診療報酬支払債権を有しており、その将来債権を債権者に債権譲渡担保として提供したとします。この場合、当該病院が支払を怠れば、債権者は第三債務者である社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会に債権譲渡通知を発送します。診療報酬は2か月遅れで支払わるため、債権者は未払の2か月分の診療報酬から、自らの債権を回収することができます。
  4 しかし、ファクタリング業者が行う取引は、単発の債権売買に過ぎません。それに対し譲渡登記をし、回収を債務者に委ねているのすが、それでは債務者が第三債務者から回収した上で、債務整理や破産、民事再生の申立てをすれば、ファクタリング業者が第三債務者に債権譲渡通知を送ったとしても、既に第三債務者は債務者に対して当該債権を弁済済みであるため、債権回収はできません(金に困った債務者が債権回収せずに放置することはあり得ません。)。
  5 ファクタリング業者は、債権の売買を装っていますが、その実態は債権の履行可能性には何ら着目せず、債務者の履行可能性にのみ着目し、さらに、不払を起こせば、取引先に債権譲渡通知を送りつけるぞという恐怖を与えることで、著しい高金利を徴求し続けているのです。

 全国の裁判官には、是非、上記のことを理解してもらいたいと思っています。